(小説感想)宝石商リチャード氏の謎鑑定 転生のタンザナイト
***映画・本・漫画のネタバレあります***
【作品名】
宝石商リチャード氏の謎鑑定 転生のタンザナイト
【見た日・読んだ日】
2018/06/09
【種類】
□映画(和・洋・アニメ) (吹替・字幕) (2D・3D) 制作会社()
【内容】
[映画] □オリジナル □原作もの □漫画(未読・既読)
[本] □漫画 ■小説(ライトノベル) □ノンフィクション □エッセイ □伝記 □社会 □実用
[アニメ] □漫画原作 □オリジナル
【キーワード】
自己評価 / 己の成長・変化 / バディ / ロイヤルミルクティー過激派
褒め殺し天然大学生 / 言葉を失う美しさの金髪碧眼宝石商
【鑑賞】
□紙本購入 ■Kindle □劇場 □TV □BD/DVD □オンデマンド □他()
【読書・鑑賞理由】
□口コミ ■シリーズ □リピート □キャスト □なんとなく □他()
【要素】
■泣けた □笑えた □キュンとした □考えさせられた □すっきりしない
【my評価】
★5:語り切れない・円盤欲しい
★4:もう1回見たい・人に勧めたい
★3:お金払う価値はあり
★2:レンタルでいい
★1:見なくてもよかった
全体 ★★★★★
ストーリー ★★★★★ 一区切りの巻としてスッキリと締めつつも、二人の今後が気になる終わり方。
テンポ ☆☆★★★
世界観 ☆☆★★★
[映画・アニメ]
演出 ☆☆☆☆☆
音楽 ☆☆☆☆☆
キャスト ☆☆☆☆☆
映像 ☆☆☆☆☆
[漫画]
絵 ☆☆☆☆☆
【(主観)この作品のポイント】
・さまざまな「好き」のかたち
・「人を頼る」こと
・あらゆる差別的偏見を持たないこと、多様性
【好きなセリフ、好きなシーン、気に入ったところ】
「『秘密』は何よりも、抱えた本人を蝕むものかと存じます」(さすらいのコンクパールより
「その石は、あなたの瞳に映るからこそ、『宝石』になるのです」(麗しのスピネルより)
→どのような石であったとしても、美しいと思う人がいるのなら、それは宝石になる。
「大切なのは、今の自分が未来の自分へと連続し、繋がっているということを、変化の可能性をふまえつつ忘れないことです」(パライバ・トルマリンの恋より)
「ここは外国人の店長さんが素敵な宝石を見せてくれるお店だと思っていたんですけど、ここは自分のことを『エトランジェ』だと思っている人たちに、とっても優しくしてくれるお店なんですね」(パライバ・トルマリンの恋より)
→『どこにいても自分は異邦人だと感じるから』とリチャードがつけた名前に、こんなに素敵な意味を見出してくれる谷本さん。あなたこそ天使です。
「宝石の美しさが消えてなくなったように感じられるとしたら、それは見ている側に問題があるのだ」(転生のタンザナイトより)
「それであなたの身が守られたのであれば安いものです。本当に使わなかったことも素晴らしい。グッフォーユー」(転生のタンザナイトより)
→リチャード大好き!!!!!!!!ってなったこの言葉。こうやって受け止めてくれる人の存在のありがたさよ。このあとに続く言葉もよかった。
【感じたこと等】
[さすらいのコンクパール]
「そんなことを言うのなら、あなたも、もう随分長い間私が支払うべきものを支払わせてくれない」
リチャードが店を閉めて帰る前に壁を叩いたのは、「自分は私の心配をするくせに、私にはあなたの心配をさせてはくれない」という怒りだったのだろうか。瑪瑙の話のときの、正義のように。単純に「予定ではあなたと食事をするはずだったのに、それが狂った」という怒りではないのはわかるのだけれど…。
[麗しのスピネル]
「中田正義くんへ」の留守電を入れた竹沢よ。中田正義の電話番号にかけてるんだからその一言はいらないだろうが。
そしてそれほど話したこともない相手からの頼み事も断らない正義、さすがのお人よしっぷり。
[パライバ・トルマリンの恋]
相手の言った言葉が「嘘か誠か」ではなく、「信じられるか信じられないか」が大切なときもある。
誰かと「特別な関係」になりたいとは思えない谷本さん。さまざまな愛の形を描いているこの作品、谷本さんのアセクシャルな部分に対しても、リチャードはさすがの助言をくれる。「恋人になりたい」から「恋人と同じくらい大切な存在になりたい」にシフトチェンジできる正義は、自分の考え方の根っこが凝り固まってなくて柔軟で、素敵だ。
[転生のタンザナイト]
正義は自分が受けているであろう「染野のクソ野郎」の影響を心配していたけれど、どう考えても「中田のお父さん」の影響を大いに受けている。
「正義、二年ぶりか。立派になったなあ!ごめんな。ずっと会えなくて。助けになってやれなくてごめん。もっと早く帰りたかった。本当に悪かった」
「なあ正義、お前が俺の息子になってくれたことが、お前にはわからないかもしれないくらい、俺は嬉しいんだよ。だから俺の息子じゃなくなるなんて、そんなことは言わないでくれ」
このあたりの中田お父さんのおおらかな話し方、正義にそっくり(正義がお父さんに似てるんだけど)。
この話の正義とリチャードは、「導きのラピスラズリ」とまるっと立場や思考、行動が入れ替わっていて、お師匠さんもどこかで言っていたけれどやっぱり「似た者同士」なんだなあ。
[シンハライトは招く]
「パーフェクトなたたずまい」「よどみのないキングス・イングリッシュ」「職業は宝石商」「イケメン」
これらのキーワードから「冒頭にリチャードの過去話か」と思って油断していたら、ラストでまさかリチャードではなく成長した正義だったと判明するとは。やられた。最高。
「自分のポジションを盤石にするために、ただ親しい人間を褒め称える相手がいた」というのは、最後に「俺の親戚の話なんです」って言ってることから、染野のクソ野郎のことだよね? 「大丈夫だったんですか」と聞かれて「相応の決着にはなった」との回答、つまり転生のタンザナイトのあと、染野のクソ野郎に対してしかるべき対応がされたということかな。よかった。
それにしてもこの小話、描かれていない空白の数年間、濃密な二人の時間を想像してしまいますね。とてもよい。次回作はこのあとから描かれるのかな? 楽しみだ!
SNSでこの作品のファンアートをよく見かける。表紙でリチャードと正義の美麗なイラストを出してくれているおかげで、読者の思い描く二人の姿が統一されているのが、ファンアートがよく描かれる理由のひとつなのだろうだと感じた。
このあとまた1巻から読み返すので、後日追記予定。